30年続いた不正の病巣 責任に時効なし−小説巨額粉飾−

巨額粉飾事件で解体したカネボウ。事件の中心人物として逮捕され、その後不起訴となった財務・経理担当常務が事件の全貌を明かす。小説のかたちをとり登場人物や会社名は変えられているが、ほとんどのエピソードは著者が当事者として経験した事実に即したものだ。名門企業に横たわる不正の病巣が、銀行と監査法人の思惑と複雑に絡み合いながら膨張していく様は読み応えがある。欲望の渦と無責任の連鎖。内部の人間でしか書けない事件の過程から学べることは多い。

責任に時効なし

著者は日本を代表する名門企業の常務取締役として巨額粉飾事件に遭遇し、逮捕された。しかし、粉飾に異を唱えていたことが判明、不起訴となって釈放された。その体験をもとに3年の歳月をかけて長編小説として綴ったのが本書。企業崩壊をもたらした組織的粉飾とは何かを明らかにするとともに、著者がもっとも問題にしているのが、粉飾を長年放置してきたにも拘わらず、時効の壁によって不問に付された歴代の経営者たちの責任問題である。法的告発には時効があるが、「責任に時効はない」と著者は訴えるのである。

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
嶋田賢三郎(シマダケンザブロウ)
1946年生まれ。関西学院大学経済学部卒業。早稲田大学大学院(商学研究科)修了。鐘紡株式会社(のちにカネボウに社名変更)入社。2000年同社取締役を経て、2002年常務取締役兼常務執行役員・財務経理担当就任。2004年同社退社。1990年税理士資格取得。2002年から合繊の事業構造改革を陣頭指揮し、積年の最大懸案アクリル事業の全面撤収を果たす。さらに化粧品事業の営業譲渡など対外的責任者としてカネボウの再建に身を投ずるも、2005年7月に有価証券報告書虚偽記載の疑いで逮捕。しかし、粉飾に反対していた事実が明らかになって不起訴となる。2008年、『責任に時効なし―小説 巨額粉飾』で小説デビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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