銭湯:憩いの場、103年で幕 明治に開業・函館の「大黒湯」 /北海道

老朽化と後継者不足 「続けたいけど」
道内で2番目に古い函館市弁天町の銭湯「大黒湯」が、30日で103年の歴史に幕を閉じる。施設の老朽化に加え、後継者がいないまま3代目の野村昭吾さん(83)も病床に伏せるようになった。高度成長期には1日200人が利用したという函館の庶民の憩いの場が、ひっそりと姿を消す。
 
大黒湯は1907(明治40)年開業。大正時代に改装したが、梁(はり)などは建てた当時のままだ。脱衣所には100年近く時を刻む柱時計もかかっている。函館浴場協同組合によると、銭湯としては明治10年代に建てられた小樽市の「小町湯」に次ぎ道内2番目に古い建物だという。
 
2人の息子も跡を継がず、銭湯は野村さんと妻タミ子さん(78)の2人で切り盛りしていたが、野村さんが昨年入院してからはタミ子さん1人で掃除などに汗を流していた。しかしボイラーが水漏れして修理費が300万円に上ることなどから、夫婦で相談して廃業を決めた。
 
地下50メートルからくみ上げた沸かし湯は「お湯が柔らかい」と評判で、函館港がにぎわっていた昭和30年代は毎日仕事を終えた漁師ら200人が通ったという。午後8時の閉店近くになれば、番台は近所の人たちの嫁姑(しゅうとめ)問題など人生相談の場になった。
 
厚生労働省の統計によると、09年度の道内の私営銭湯は394施設で、ここ5年で87施設減った。大黒湯の来客も今は1日約20人だ。約50年間、番台に座り続けたタミ子さんは「本当はまだ続けたいけど、仕方がありません」。廃業後の建物をどうするかは、まだ決めていないという。



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